絵描衛門

開発/発売元 株式会社アテナ
販売価格 9800円
発売年月日 1991年 9月13日
プラットフォーム ファミリーコンピューター
攻略本 なし

記念すべき初代デザエモンです。

3ステージのSTGが製作可能。ドット絵はもちろん、敵配置や設定、作曲までこなせてしまいます。

バックアップ機能付きで、作ったゲームを保存しておく事が可能。

そもそも初代ファミコンでツクール系ソフトがある事に対し、驚きを禁じえない。

初代デザエモンこと「絵描衛門」です。

絵描衛門でデザエモンと読む強引さといい、歌舞伎の渋さといい、繰り返すがファミコンで無茶やった事といい・・・、

かなりのパワーとインパクトを感じるソフトである事は確かでしょう。

ゲームジャンルを正確に言うと、「ゲームデザイナー養成ソフト」と書いてある所が輪をかけて凄い・・・・・・。

 

しかし絵描衛門の本当に凄い所は、ファミコンとしてはかなり本格的なSTGが本当に作れてしまう所にあると言えましょう。

 

賢明な諸君は気づいたかもしれないですが、絵描き衛門は通常のファミコンソフトよりも、かなりでっかい。

左の比較画像を見れば一目瞭然でしょう。一般的な大きさの箱と比べると、1.5倍位はあります。

特に、黒くてでかいカートリッジはインパクト抜群です。

 

箱もでかいしソフトもでかい。説明書も分厚い。ついでにファミコンソフトとしては非常に高い。

(ちなみに、ファミコンソフトの平均価格は6500円程度)

既に前年度には、ファミコンの上位互換機であるスーパーファミコンも発売されており、ファミコンの注目度は下がる一方。

非常に苦しい状況での販売であった事は想像に難くありません。


起動直後の画面。

後発のデザエモンシリーズと比べると、何とも地味でシンプルに見えますが、初代にそこまで求めるのは酷というものでしょう。

ある意味、率直に書かれている分、非常に分かりやすいインターフェイスとも言えるかもしれません。

1991年といえば、ツクール系ソフトは、アスキーのアドベンチャーツクール(PC88)とRPGコンストラクションツールDante(MSX2)位のもの。

アテナも参考が無くて苦労した事が想像されます。

そういえば、PC88もMSX2もパソコンなので、絵描衛門はコンシューマゲーム機初のツクール系ソフトなのかもしれないです。


ドット絵エディッタ。

ファミコンなので、使用できる色数は4色。しかも、内1色は背景色なので、実質的には3色。

ファミコンスペックの厳しさを感じてしまいます…。

しかしこのドット絵エディッタは、時代を感じれば、かなり優秀です。

Aボタンでキャンパスから色を拾う事も出来るし、操作性は意外に良い。

ファミコン初期の頃の企業ツールよりも強力なのではないかと思います。


敵キャラ配置画面。

ちなみに、背景は、各ステージ16×16のマップチップを16種類使用できます。

敵キャラは、16×16を4種類、32×32を1種類、ボスとして48×48を1種類作る事が出来ます。

少々物足りない気もしますが、敵キャラに設定できる動きや弾設定は、後発のデザエモンと比べても遜色ない出来です。


音楽エディッタ。

そもそもファミコンで作曲できる事自体が驚異的でしょう。

しかも、かなり長いメロディーを作曲する事が出来ます。

音色もそこそこ揃っており、少し改良すれば単体でも販売できそうなレベルです。


サンプルゲームも、もちろん同梱。

EDITという、宇宙を舞台にした、まぁベタな感じのSTGですが、サンプルゲームとしては水準以上の出来といって良いでしょう。

絵描衛門の能力が一通り学習できるし、純粋にSTGとしても面白い。

stage3の難易度が一部異常に高い事はさて置き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

もちろん、今の目で見れば絵描衛門に弱点は多いです。

作り込めるとはいえ、全3ステージなのは、STGとしては少ない。

アイテムの出現が完全ランダムなのも、STGとしてのバランスを取り辛くしている。

エディッタでの操作を完全に覚えないと、すぐにデータを消してしまうのも困ってしまう。

武器のパワーアップシステムが謎仕様なのも困る・・・。

(武器は3段階にしかパワーアップしないのに、見た目だけは9段階にパワーアップする)

 

しかし、それらの問題点を差し引いても、91年当時としては驚異的なスペックを誇る最強のツクールソフトだった事は確実です。

 

ただ、絵描衛門は販売的には振るったとは言い難いものでした。

というか、もっと率直に書くなら、かなり少数しか出回らない結果でした。

それは、中古屋でプレミア化している事からも容易に想像がつきます。

しかし、アテナ自身は絵描衛門の内容に一定の成果を確信したのではないでしょうか。それが、後にSFCでデザエモンを出す決断になったのではないかと思います。

そう思うと、絵描衛門は、シリーズを語る上でやはり外せない存在なのではないかと思います。

 

ちなみに、絵描衛門はエミュレーターでは正常に作動しません。

エディットモードで保存する事が出来ず、フリーズしてしまいます。

特殊技術でも使っているのか・・・。原因は謎ですが、ともかく、絵描衛門を体感したければ、現物を購入するしかありません。

入手は困難かもしれませんが・・・。

 

絵描衛門を手に入れた時、ノスタルジックの対象と見るか、何か熱いものを少しでも感じるかは、貴方次第でしょう。

 

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